レンタル掲示板

妖華淫爛(ようかいんらん)・牝百合二輪 性なる夜の饗宴2 −第一部−

(1)にがりさん作


『では、よろしくお願いいたします。――様』
『わかった』

 心地よい夢の世界で、微かに聞こえてきた会話。後者の声が一晩をともにした彼女に似ていた気がするけど、気のせいだったのだろうか。しかし、そんな疑問も瞬く間に霧散し、さらに甘美な眠りの底へと沈んでいく――



(……ううん……)
 心地よい眠りから醒めたあたしは、ゆっくりと瞼を開いていく。差し込んでくる朝日の光が、どこか眩い。
(あー……よく寝たわ……でも……だるい……)
 意識も身体も、朦朧としたものが抜けきれない。よほど深く眠っていたのか、まだ夢と現の狭間を彷徨っているようだ。あたしったら、昨夜はよっぽど飲んだのねえ。でも、それだけじゃなかったような……それにしても、本当にだるい。ひょっとして、二日酔いかしら。
(……あれっ?)
 少し経って、ぼんやりと視界に映る風景へ違和感を覚えた。
(……ここ……どこ?……)
 派手ではないけど、レイアウトに主の上品さみたいなものが表れている部屋だ。誰かの住んでいる気配を感じるけど、まるで見覚えがなかった。どうして、自分が見知らぬ部屋の中で寝ているのか、皆目見当も付かない。
(……ええと……あたしは……確か……)
 あたしは、まだぼんやりとした頭で現在の状況と過去の記憶を懸命に整理する。
(……そうだ……あの部屋で……由美(ゆみ)さんと一緒に……)
 あたし椎名 優子(しいな ゆうこ)の脳裏に、昨夜の出来事が蘇る。取引先が主催の豪華客船でのパーティーで、別の取引先の知り合いである狩谷 由美(かりや ゆみ)さんと成り行きで一夜を共にしてしまったのだ。
 ああっ、女同士で何をやっていたんだろう。
 あたしは、思わず頭を抱えたくなってしまった。
 お互い、相手がいる身だっていうのに……もっとも、彼女の相手は婚約者で、あたしの相手はご主人様っていう違いはあるけど。ばれたらお仕置きだろうな、間違いなく。ははは……
 しばし現実から逃避した後で、再び現実へと帰るあたし。
(……でも……何で……知らない部屋にいるの……?)
 少なくとも、宿泊の予定だった船の部屋とは違う。そういえば、由美さんはどこ?彼女の婚約者は?神崎(かんざき)は。あたしのご主人様は?
 それに、何だろう?身体が熱い。肌が汗ばんでいる感じがするし、妙なむずむずが消えなくて仕方ない。単に二日酔いでだるいのかと思ったけど……違う。この熱さは、欲情の疼きからくる熱だ。ご主人様から調教されている最中に、いつもまとわりついて離れない粘り気を含んだ熱さだ。
 って事は、待って。あたし、劣情をもよおしている?昨日の情事の残り火が、まだ消えていないって事なの?……やばっ、もしかしたらあそこが濡れているかも。もう、本当にどうしちゃったのよお。
「あら、ようやく目が覚めた?」
 まだ状況を十分に把握しきれていないあたしの耳に、聞き慣れた声が入ってきた。声の方へ視線を向けると、そこに見覚えのある女性の姿があった。
「あっ、由美さん。おはよう――」
 昨夜一緒だった彼女は、ソファへゆったりと座りながらあたしの方を見て微笑んでいる。昨夜のパーティードレスから一転してラフな格好をしているけれども、それもまた様になっていた。本物の美人は、何を着ても似合うという事なのか。微笑を浮かべる目鼻立ちの整った顔が、朝日を浴びて何とも妖艶で幻想的で……でも、何だろう……この不安な気持ち……彼女の笑顔で……妙に胸が騒いで……
 とにかく確かな事は、あたしが今横になっているのは、由美さんが座っているのと同じソファらしいという事。
「……ええと……ここはどこ……?」
 まず起きて、由美さんに尋ねてみようと思った。彼女の方が、少なくともあたしより状況を理解していそうだったから。
 ジャラッ。
(えっ?)
 身じろぎしたあたしの首もとから、無機質な硬い音が聞こえてちょっと驚いた。
(何か首に……巻かれている……?)
 肌へ吸い付くような革の感触が、首を覆っている。そこから何か長いものが伸びて……うそ……
 あたしは、長く伸びるそれの正体を知って言葉を失う。
 これって本物の鎖じゃない。しかも、その一端を片手に握っているのは、たった今挨拶を返し話しかけようとした相手――
「ここ?ここは、私の部屋よ」
 由美さんが、微笑を浮かべたまま握っていた鎖を軽く引く。
「うっ」
 首を締め付ける力に襲われたあたしは、反射的に呻きを漏らした。それが、一つの確信をあたしに抱かせる。
(あたし、首輪を嵌められているんだ……)
 世間一般の常識からすれば信じられない事かもしれないが、それ自体、あたしにとって驚く事ではなかった。畜生が人間に服従し飼育されるための拘束具。人間としての権利も尊厳も捨て去り、ただ悦楽のみを貪る堕落した牝奴隷の証に、あたしの首は、ずっと馴染んできた。特に、あのホワイトデーの夜からは、外されても片時として忘れられない。だけど――
(これ、あいつの首輪じゃない……)
 ホワイトデーでご主人様から贈られて以来ずっと嵌められている革と、質感が何となく、でも決定的に違った。それに今までの首輪にはなかった何かが、ぶら下がっている感じがする。長く伸びる鎖とは別の、薄い札みたいなものだ。
 まるで、ご主人様に売り飛ばされ、まったく見知らぬ他人の所有物となったかのような気分。それが、あたしの不安を一層掻き立てる。
(この首輪……まさか……彼女が……)
 喉を絞められた苦痛が薄れたところで、何とかソファから起き上がるあたし。肌がソファから剥がれるような錯覚に囚われる。汗でべったりくっついていたみたい。汗ばんだ感じがしていたんじゃなくて、本当に汗をかいていたんだ。そこで、首輪以外何一つ身に着けていない自分に初めて気づいた。友人とはいえ他人の部屋で、自分だけ首輪のみを着用したあられもない姿を晒している。しかも情事の最中みたいに、肌は上気しうっすらと汗が浮かんでいるじゃないの。
 本当に、どうしようもなく恥ずかしい。でも、それ以上にすごくイヤな予感がしてならない。
「ええと……由美さん……これは……?」
 胸に渦巻く羞恥と不安を懸命に押さえながら、あたしは、ありったけの勇気を振り絞り、首に嵌められた拘束具を指差しながら由美さんへ問いかけた。今、もっともまともな状態にあると思われる彼女に、自分の不安を掻き消してもらいたくて。『ははは、驚いた?昨日の夜が良かったから、ついこんな冗談してみたくなったの。ごめんね』と明るく笑って、あたしの首から革の縛めを解いてもらいたくて。
 しかし、
「向こうの鏡を見て御覧なさい」
 由美さんは、優雅にソファから立ち上がるとあたしの首から伸びる鎖を引いた。再び喉を絞められ、「うくっ」と呻くあたし。そんなあたしを見る彼女は、笑顔を浮かべているけど、あたしの望んでいた明るくおどけた雰囲気など微塵もなかった。かえって、あたしのイヤな予感を強くする妖しさが、うっすらと漂っていた。
 でも、どうして。どうしてなの、由美さん。
 切に問いかけたい当の本人は、あたしの気持ちなどまるで無視するかの如く歩き出す。決して、その手から鎖を離す事なく。
「……あうっ………………どういう事……あたしたち……昨夜は……」
 何がどうなっているのか分からず、問いかけにもならない言葉を漏らす。わけの分からない不安に怯えながら、無理矢理引かれ首を絞められる力に抗う事ができないあたしは、ただ彼女の後を着いていくしかない。歩き出してから気づいたのだけど、胸が重い。何か張っている感じがする。やっぱり、いつもと違う。
 由美さんも、そんなあたしの言葉が聞こえていないかのように、否、聞くにも値しないかのようにあたしの方を振り向く事なく、部屋の大きな姿見の鏡の前まであたしを連れていく。そんな彼女が、急に怖くなった。あたしの知っている狩谷 由美という女性ではなく、まるで別のもっと恐ろしく、もっと大きな未知の存在のように思えた。
 あたしは不安に震えながら、それでも由美さんに無言で促されるまま姿見の前に立つ。しかし、鏡に映った己の姿を見た瞬間、あたしの心にまだ残っていた一縷の希望は、見事に打ち砕かれた。
「……ゆ……由美さん……こ……これって……」
 全裸に首輪のみを嵌められた女の、いや、はしたない牝犬の姿。恥ずかしいけれども、ショックを受けたのはそんな己の格好に、ではなかった。それだけならこの一年に及ぶ調教生活で見慣れているし、第一、昨夜は自分からわざわざ由美さんへ晒したのだ。彼女へ抱いた信頼と、友情とも愛情ともつかない感情を示すために。
 ショックだったのは、まず胸が明らかに変わっているという事。サイズが肥大化しており、世間一般でいう『巨乳』や下手すると『爆乳』くらいのボリュームがありそうに見える。それに、形が――大きくなった胸の膨らみは――どこか卑猥な曲線を描いているように見えてしょうがない。発情中の牝犬です、と激しい自己主張するかのように、乳首もピンと屹立している。
 でも、何よりも一番ショックだったのは、今嵌められている首輪がご主人様から与えられたものではないという事。首輪から鎖と揃ってぶら下がる代物を目にした瞬間、ショックは回復不能なほどになっていた。
「……これって……一……体……」
 不安と恐怖で震える指先で、鎖とともに首輪からぶら下がるプレートに刻まれた文字をなぞる。その薄い小さな板には、こう記されていた。


 
『マゾ牝ゆうこ』







「……これって……一……体……」
 プレートをなぞる優子さんの手が震えている。まぁ無理もない。目が覚めた途端そこは見知らぬ場所で、しかも友人だと思っていた人間からの裏切りにも等しい行為。私が彼女の立場でもとても正気ではいられなかっただろう。むしろ全くの見ず知らずの人間であればショックも少なかっただろうし、彼女の性格なら力ずくでここを逃げ出そうとしたに違いない。抵抗する彼女を屈服させるというのも一興だったが……まぁいい。
 そんなことよりも、今の状況に私はとても興奮していた。船室から私の部屋への瞬間移動、彼女の首に巻かれている特殊な首輪、その他諸々の奇妙な現象が私を確信させていた。
(これは夢だ)
 私の業の深さが見せる夢なのか、今私は悪の組織の首領になっていた。幹部を名乗る男に泣きつかれて仕方なく引き受けたというのが表向きの理由。けれど、本当はそうではなかった。そして、その真の理由のために、獲物をアジト、つまり私の部屋に運んできたというわけだ。

 さて、そろそろ始めよう。見るからに狼狽し、全身を震えさせている優子さんに私は冷たく言い放った。
「ああ、あなたに相応しいネームプレートをつけてあげたの。どう、嬉しいでしょう?」
 我ながら驚くほどの冷淡な声。優子さんにとっては尚更だったのだろう、さらに怯えた様子で私を見上げてきた。
「……どうして……こんな事を……」
「さぁね……どうしてだと思う?」
 ひっ、私が思わず漏らした含み笑いに恐怖の喘ぎが重なる。
「……だって……あなたは……知っているでしょ? ……あたしが……誰の所有物(もの)か……」
 彼女の問いに私は頷き、そしてまたすぐに首を横に振った。
「ええ、もちろん知ってるわ。でも残念ね。それも昨日までの話」
「昨日までって……あなた……まさか……」
「そう、そのま・さ・か」
 すっかり血の気の引いてしまった柔らかいほっぺたをぷにぷにと突く。そんな動作にさえ怯える彼女がとても愛おしい。
「あなたはこれから私に飼われるの……そう、一生ね」
 優しく頭を撫でながら耳元で囁く。耳にかかる微かな息にさえピクリと体を反応させるのを見て、私はほくそ笑んだ。
(首輪の効果が出てきたみたいね)
 それを嵌めた者を本人の意思とは関係なく発情させる『淫欲の首輪』。さて、あなたはどれだけ我慢出来るかしら。そして我慢が限界を超えた時、どれ程浅ましく悶えてくれるのかしら。あぁ、想像するだけで下腹部が熱くなってきた。
「……あなた……自分が何を言っているのか……分かっているの……?」
 上目遣いでさらなる質問を投げかけてくる優子さん。だが、これ以上の質問に答える必要は無い。そろそろ作戦開始といこうか。まずは主に対する態度を教えてやらないと。
「あなたこそ何を言ってるか分かってるの? 犬が主人の許しもなく人間の言葉を喋るなんて」
「えっ。そ、そんな……ぐっ」
「まぁいいわ。これからきちんとあなたを躾けてあげる。ちゃんとした牝犬になれるようにね」
「……や……やめて……こんな事……あれは一晩だけだったはず……でしょ?」
「ふふ、私もそのつもりだったんだけどね……気が変わったのよ」
 うっすら目に涙を浮かべながらもあくまで抵抗する彼女。このまま体が快楽に打ち勝てなくなるまで徹底的に甚振ってもよかったのだが、どうせなら自らの手で先に心を堕としてしまいたかった。何故なら、彼女は組織ではなく、私専用の牝奴隷になるのだから。
「これって私の一番のお気に入りなの」
 私の言葉も耳に入っているのかいないのか、携帯の待ち受けを見せると、面白いくらいに彼女の顔から血の気が引き、死人のように真っ青になった。
「……そんな……」
 立っていられなくなったのか、力なく床に座り込んた彼女にさらに追い討ちをかけるように、私は次々と画面を切り替えた。そこに映るのは彼女のあられもない姿。
(さて、これからどうやって彼女を――『ゆうこ』を堕としていこうかしら。まずは……)
 頭の中でこれからの段取りを組み立てながら、カタカタと肩を震わせる彼女にメモリーカードいっぱいの画像を見せ続けた。






「これを見て」
 未だ我が身に起こった事が信じられないあたしの目の前へ、由美さんは自分の携帯をかざした。その待ち受け画面を目にした瞬間、あまりのショックで視界が真っ暗になった。
「これって私の一番のお気に入りなの」
 耳へ響く由美さんの言葉が、氷のように綺麗で冷たい。いつの間に撮られていたのだろう。彼女の操作で次々と切り替わる待ち受けは、どれも無防備に眠りを貪るあたしの画像だった。
 『マゾ牝ゆうこ』のプレートをぶら下げた首輪以外、何一つ身に纏わぬあられもない姿。巨乳化し、どこか淫らに見えて仕方のない輪郭を描く胸。ご主人様以外に、ほとんどの人間にまず見せる事のない女の部分が、一枚一枚ごまかしようのないくらいにはっきりと映し出されている。
「……そんな……」
 いつも以上にイヤらしい印象の己の裸身を見続けるのに、それを他人に撮られていた事実に、恥ずかしくて耐えられなくなったのかもしれない。あたしは全身を震わせながら、その場へ座り込む。足に力が入らなくなり、床から立てなくなった。
(……こ……こんなもの……いつの間に……)
 何か言葉にしたいのに、声が喉から出てこない。その間も、由美さんは容赦なく、あたしに生まれたままのあたし自身を見せつけてくる。
「私の言うことをちゃんと聞いてくれたらこの画像は消してあげる。でも、もし逆らったら……そうね、あなたの上司にこの画像を送りつけちゃおうかしら」
 彼女の次の台詞が、あたしに止めを刺した。
「もちろん神崎(かんざき)さんにもね。椎名さんは私のものになりましたって」
 その言葉に、思わずあたしは由美さんの顔を見つめた。由美さんは、やはりその美貌に冷たい笑みを浮かべていた。それが、彼女の本気の程を表していた。
 どうしよう。神崎に、あたしのご主人様に、第三者が撮ったあたしのあられもない画像を送られたら……ご主人様は…………あたしは…………
「……やめて……お願い……」
 恐怖と羞恥の思いでいっぱいになったあたしは、目に涙を浮かべながら由美さんへ哀願する。もう意地なんて張っていられない。首輪を嵌められ、鎖で繋がれ、他に身に纏うものもないこの無力で無防備な姿では、それ以外に為す術がなかった。
「じゃあ、素直に言うことを聞きなさい」
 由美さんが腰を落とし、あたしと同じ目線になる。だが、その視線から無形の圧力が感じられ、あたしの不安と恐怖を一層煽る。
「安心しなさい。一生このままっていうわけじゃないから。あなたが身も心も私のものになったら、解放してあげるわ」
 由美さんは、あたしを落ち着かせるように優しく語りかけてくる。しかし、それも一瞬の事。続く彼女の言葉が、再び冷たいトーンを帯びる。
「ただし、ちょっとでも逆らったら……首輪の鍵穴を潰して、一生ここで飼ってあげる」
「ひっ!?」
 鍵穴を潰す、という言葉に思わず悲鳴を上げた。
 鍵穴を潰されたら最後、この首輪を自力で外す可能性は皆無に等しい。あの画像が彼女の手に握られている以上、潰されるのを防ぐ事も叶わない。つまり、自分は『マゾ牝』であると宣言しながら、一生過ごさなければならなくなる。何より、ご主人様以外の相手に二度と外せない首輪を嵌められた時点で、ご主人様との絆が断ち切られる事となる。なぜなら、ご主人様の所有物(もの)であるという隷従の証を、もう着けていただく事ができないのだから。
 ご主人様との繋がりが、永遠に失われる。
 それに気づいた瞬間、あたしは本当に耐えられなくなった。
「……わ……分かり……ました……言う事を……聴きます……ですから……それだけは……許して…………ぐすっ……ううっ……うえっ……」
 そこから先は、言葉にならなかった。次々と頬を伝い落ちていく涙。子供みたいに泣きじゃくったのは、いつが最後だっただろう。ひっくひっく、とあたしは嗚咽しながら、身を震わせるしかなかった。






「やだもう、そんなに怖がらなくていいのに。これは夢、だからこの状況をお互いに楽しみましょ」
 そう言えば、目の前の彼女の涙を止めることが出来たのだろうか。ここは夢の中、だから私達がここで何をしようと現実には何の影響もないのだと、現実には味わえないシチュエーションを思う存分楽しもう、そう伝えたなら。
 いや、そんな無駄な想像は止めよう。何故なら、私はそれを望んでいないからだ。というよりも、そんなこと思いつきもしなかった。
 私の頭の中は優子さんを堕とす事でいっぱいで、他の事にまで注意を払う余裕なんてなかった。だから、泣き崩れた彼女を見ても罪悪感なんて微塵も沸いてこなかった。
(ふふ、あなたを快楽一色に染め上げてあげる。楽しみにしてなさい)
 正直、私は今のシチュエーションに嵌まりきっていた。そう、私は悪の組織の首領。目の前に獲物が居れば快楽地獄に堕とすのは当然の事。私の頭の中はその為の方法を弾き出すためにフル回転していた。
「お願いだから泣かないで。私はあなたを苦しめたいわけじゃないんだから」
「……ひっく……は……はい……」
 獣が傷ついた仲間を癒すがごとく、しゃがみ込んで彼女の涙を舌で拭う。きっと彼女には偽善者のごとく貼り付いた笑顔が、彼女を堕とすための第一歩となる『飴』が見えていることだろう。その効果のお陰だろうか、さっきよりは随分落ち着いた表情で彼女は私を見つめてきた。
「私はね……あなたに教えてあげたいの。あなたの本当の姿を」
 恐怖が薄れて出来た心の隙につけ込むように、私という存在を、言葉を彼女に刻み込むために、さらに言葉を紡いだ。
「人に従属する事に悦びを覚えてはしたなく感じてしまう、あなたの本性を解き放ってあげたいのよ」
 何という身勝手な言い草だろう。彼女を本当に支配する事が出来るのは、ただ一人だというのに。
 もっとも、私は嘘を吐いたつもりはない。――何故なら、今からこの言葉は真実になるのだから。
「……はしたない……あたしの……本性……」
 普段なら認められるはずもない私の言葉に、彼女の顔がほんのり朱に染まる。私の言葉が彼女を侵し始めている、そのことを確信させるには十分な反応だった。だから躊躇うことなく、私は止めを刺しにかかった。
「どう? 悪い話じゃないでしょう?」
 優子さんが口を開きかけて、再び閉じた。私は待った。彼女が再び口を開いてくれるのを、隷属の言葉を聞かせてくれることを。言うべき言葉はもうなかった。後は、私が張った罠まで彼女が自ら堕ちてきてくれるのを待つだけ。さっきより呼吸が荒くなってきたから、それも時間の問題だろう。
 もちろん、返事がイエスでもノーでも結果は同じ。もしも後者なら、前者に針が傾くまで待つだけのことだ。淫欲の首輪に抗えるはずなどないし、他にも色々と仕掛けを用意しておいたから、時間の問題だろう。


 一体どれくらい経っただろう、一瞬とも、一時間とも思われる時間が経った後、彼女は口を開いた。
「……はい……分かりました……」
 ついに、私の手の中に堕ちてきた。……もう離さない。歪んだ喜びがふつふつと湧き上がるのを、私は感じた。






「私はね……あなたに教えてあげたいの。本来のあなたの姿を」
 由美さんのその言葉に、あたしの心は揺れた。どくん、と胸の鼓動がにわかに高鳴る。あたしの頬を伝った涙を、ぺろっと舐めてくれた彼女。舌から伝わってきた暖かさに似たものが、あたしの心へ染み込んでいく。
 これは何?恐怖と絶望の淵へ突き落とされたところでわずかに見せてくれた、彼女の情けと優しさにすがりたいだけ?それとも、もっと別の熱くて激しいものが、あたしにまだ彼女の何かを求めさせるの?
「人に従属することに喜びを覚えてはしたなく感じてしまう、あなたの本性を解き放ってあげたいのよ」
 由美さんの言葉が一言一言耳へ入ってくるたびに、あたしの身体は熱し、精神は溶かされていくばかり。胸の鼓動は早くなりこそすれ収まる気配はない。顔まで熱くなっているのが、自分でも分かる。
 信じられない。彼女をご主人様だという事を、彼女の所有物だという事を認めようとしている自分がいる。
「……はしたない……あたしの……本性……」
 そうなの?今にも彼女の足元へ跪き、服従の誓いを立てたくて仕方ないこの気持ちは、あたしの本当の姿?自分が気持ちよくなれるなら、どんなはしたない事をしても、惨めで恥ずかしい立場に堕ちてもいい、と。かつてのご主人様を裏切り、新しいご主人様へ従ってもいいと。だとしたら、本当に……本当に、あたしは……何て救いようのない……淫乱な……牝犬奴隷……
「どう? 悪い話じゃないでしょう?」
 由美さんの甘い囁きが、あたしの心から徹底的に壁を打ち崩してしまった。壁も何もかも取り払われた後は、坂を転がる石のように堕ちていくだけ。ただ、胸に微かな痛みを覚えるだけ。かつてのご主人様に対する想いは、この程度でしかなかったのか。でも、そんな躊躇いすら、首輪のみ着けた淫らな肉体を襲う悦楽の波の前に洗われ消えていく。
 巨乳化した胸の先端は、痛いほど屹立し、牝の茂みはじわっと熱く湿ってきた。ダメ……身体だけじゃなくて……心まで……あたしを……裏切る……この淫欲の求めに……抗う事なんてできない……信じたくないけど……
「……はい……分かりました……」
 震えながら、ついに屈服の第一声を上げる……認めるしか……ない……これが……ほんとの……あたし……なん……だ……
「分かってくれたのね……嬉しい」
 まだ震えの止まらないあたしの身体を、由美さんはそっと抱きしめて、
「じゃあ……誓いなさい」
 あたしの耳元で、ご主人様としての最初の言葉を紡いだ。
「あなたは今日から私の犬だと。私に身も心も服従を誓うと」
 彼女の言葉に秘められた絶対の意志と、抱擁のじわりとした暖かさに、胸の鼓動は一層どきどきしている。
「そうすれば、あなたに限りない快楽をあげる」
 限りない快楽。そういえば、神崎も、あいつも同じ言葉をあたしに囁いてくれた――
「好きなだけ乱れなさい。好きなだけ啼きなさい。それが、あなたの全てになるの」
 どうしてだろう。あいつの事を思い出したら、ちょっとだけ熱い雫が目から零れた。もう、彼の所有物である資格を失ってしまったというのに。
「私の言葉を素直に聞いて、快楽を貪ること以外、あなたは何もしなくていいのよ」
 由美さんは、そこであたしの身体からゆっくりと腕を解いた。あたしの誓いを待っているんだ。あたしは、目を閉じた。彼女へ抵抗する権利も意志も、あたしにはすでにない。
(……ご主人様……ごめんなさい……そして……今までありがとう……優子はこれから……新しいご主人様の下で……生きていきます……お許しください……もう……あなたの牝奴隷に……戻る資格を……失い……ます……)
 息をゆっくりと吐きながら、目を開いた。もう、この身体の隅々まで広がりきった熱い疼きに抗う必要もない。
「……かしこまりました……私の如き……いやしく……はしたない……牝犬を飼っていただける……なんて……もったいないお言葉……ありがとうございます……」
 気づくと、由美さんの、新しいご主人様の前で三つ指をついていた。服従の媚態を露わにしたあたしの口からは、自らを蔑み辱め貶める宣誓の言葉が次々と零れ出した。
「……わたくし……椎名 優子は……本日より……狩谷 由美様の……牝犬奴隷になる事を……誓います……由美様を新たなご主人様として……わたくしの身も心も……一切捧げ……服従し……御奉仕させていただきます……いかなるご命令も悦んでお受けいたします……」
 牝犬奴隷としての誓いを立てるあたしの喉元で、何かぶら下がったものが微かに揺れる。それが、あたしにさらなる服従の言葉を語らせた。
「……このプレートに刻まれた『マゾ牝ゆうこ』として……絶対で永遠の忠誠を尽くします……どうか……ご主人様のお好きなように……このマゾ牝を……お使いください……ませ……」
 宣誓を終え、跪いたあたしは由美さんを、否、由美様の方を見上げた。目には、新しいご主人様への隷従の色だけが浮かんでいるだろうか。すでにあたしの肉唇は、熱くドロドロに溶けたようになっている。



 けれども、新たなご主人様よりいただいた最初の命令は、このいたらない牝犬の想像をはるかに超えた厳しいものだった。






「……わたくし……椎名 優子は……本日より、狩谷 由美様の……牝犬奴隷になる事を……誓います……由美様を新たなご主人様として……わたくしの身も心も……一切捧げ……服従し……御奉仕させていただきます……いかなるご命令も喜んでお受けいたします……」
 そう言って優子さんは私に向かって三つ指をついた。夢に堕ちる前にも似たような光景を見たような気がする。けれど、あの時と今では全く意味が違っていた。今の彼女の誓いは仮初めのものではなく、永遠の服従の意。誰にも何ら義理立てする必要の無い、私に対する絶対的な忠誠を誓ったのだ。絶対にあり得ない状況を作り出してしまった『淫欲の首輪』の威力に少しだけ恐怖を覚える反面、そんなものは問題にならない悦びを感じていた。
「……このプレートに刻まれた『マゾ牝ゆうこ』として……絶対の忠誠を尽くします……どうか……ご主人様のお好きなように……このマゾ牝をお使いくださいませ……」
「ありがとう」
 心が屈したせいだろうか、理知的な瞳は淫欲に潤み、きりっと締まっているはずの唇はだらしなく緩み、切なげに吐息が漏れる。疼いてじっとしていられないのか、朱を帯びてきた全身をもじもじと動かしては胸が揺れる刺激に悩まされている。改造され大きくなった胸の頂で、今にもはち切れそうな乳首が存在を主張し、足元には大きな水溜りが。最早私の目の前に居るのは、大切な友人である『椎名優子さん』ではなく、『マゾ牝ゆうこ』という名の、火照った体を持て余している発情した牝奴隷。私の指示を渇望する熱い視線を感じながら、一枚の写真を彼女に差し出した。
「これをあなたの手で破りなさい」
 そこに写るスーツ姿の男性を見て、彼女の顔色が一変した。わなわなと全身を震わせる彼女の手に無言で写真を押し付け、無表情で彼女を見下ろした。血の気が引いて真っ青になった顔、戸惑い、悲しみ、その他多くの負の感情に押されて今にも泣き出しそうな瞳。
『本当に……やらなきゃ、駄目ですか?』
 神崎さん――『元』ご主人様の写真を手に訴えかけてくる視線を冷たく突っ撥ねる。これは彼女の言葉を試すために課した課題、採点をするための答えが提示されない限り動く必要などなかった。
「…………」
 説得は不可能と悟ったのか、写真の両端を持つ手に徐々に力が入る。あと少し力を入れれば写真は破ける、そう思った瞬間、思いもよらない言葉が私の口を突いて出ていた。
「やっぱり待って」
 自分の言葉に私は驚いた。けれど次の瞬間、全てを理解した。私はいつの間にか悪の女首領という役になりきっていたのだ。それを正気に戻したのは、胸を刺す小さいけれど鋭い痛み。
(結局、私は悪になりきれないって事か)
 苦笑しつつ、それを表に出さないよう無表情を努めた。
「ご主人様……あたし……」
 目に今にも零れそうな涙を溜め、私を見上げる彼女。私のポーカーフェイスも聡い彼女にはあっさりと見破られてしまったようだ。
 至らない奴隷で申し訳ないと謝罪する彼女に、私は首を横に振った。
「ごめんなさい、あなたを苦しめることになってしまって」
 神崎さんとの思い出は簡単に消えるものでないのは、もちろん分かっている。なのにそれを試すようなことをして、彼女を傷つけてしまった。
「神崎さんとの思い出を、無理にあなたの中から消そうとしなくてもいい。でも、約束して欲しい。いつか、あなたの身も心も私に捧げてくれる日が来ると。それを態度で示してくれるかしら」
 机の引き出しを開け、そこの鍵を渡すと何をすべきか分かったのだろう、彼女は頷いた。
「かしこまりました。……このマゾ牝の手で……やらせていただきます……」
 彼女は引き出しの中に神崎さんの写真を入れ、鍵をかけ、両手で鍵を差し出してきた。
「ありがとう」
 大切そうに両手に包まれた鍵を私は受け取った。ずっしりと重さを感じたのは、きっと気のせいじゃない。
「いつか、ご主人様だけのものになる事を……誓います……」
 目に涙を浮かべながらも、にっこりと笑った彼女。思えばこれがこの夢の中で見た初めての笑顔かもしれない。
「その日のためにも……どうか……このどうしようもなくイヤらしいマゾ牝を……ご主人様の犬として躾てくださいませ」
「ありがとう……」
 深々と頭を下げる彼女を、私は抱きしめ、耳元にそっと囁いた。
「これから厳しく躾けてあげる。どこに出しても恥ずかしくない牝犬になるまで」
 そして、自分自身に誓った。二度と彼女に悲しみの涙を流させはしないと。






 迸る欲情に屈し、服従を誓った。もはや、あたしの身も心も新たなご主人様のモノ。なのに、一枚の写真が堕落したはずのあたしの心を苦しめる。写真に写る一人の男性。昨日まで『ご主人様』と呼んでいた彼への忠誠なんて、この牝犬奴隷の卑しくはしたない心にはこれっぽっちだって残っていない。残っていないんだから、ご主人様が『破れ』とおっしゃるなら破れるはずなんだ。できないわけが……できない…………痛いよ……胸が張り裂けそうだよお……でも……やらなくちゃ…………やらなくちゃ…………
「やっぱり待って」
 あと少し力を入れれば写真は破ける。そう思った瞬間、由美様のご命令があたしの震えていた手を止めた。おそるおそる拝見すると、麗しいお顔に険しい表情を浮かべていらっしゃる。
「ご主人様……あたし……」
 あたしの行動が、新たなご主人様まで傷つけ苦しめてしまった。そう思うといたたまれない気持ちに襲われた。
「……いたらない奴隷で……申し訳……ございません」
 両目にまた熱いものが溢れて、視界が滲む。泣いて謝罪したところで何の償いにもならないと分かっているけど、謝罪しないではいられない。でも、そんなあたしへ向かって、違うの、と由美様は首を横に振られた。
「ごめんなさい、あなたを苦しめることになってしまって」
 意外なご主人様のお言葉に、あたしは驚きを隠せない。
「神崎さんとの思い出を、無理にあなたの中から消そうとしなくてもいい。でも、約束して欲しい。いつか、あなたの身も心も私に捧げてくれる日が来ると。それを態度で示してくれるかしら」
 そうおっしゃると、由美様は机の引き出しをお開けになり、あたしへ鍵を渡された。それで、このいたらない牝奴隷が次に何をすべきか、を悟った。
「かしこまりました……このマゾ牝の手で……やらせていただきます……」
 震えそうになる手で、写真を引き出しの中へ入れる。まだ苦しい。でも、これでいいんだ。引き出しに鍵をかける。これで、かつてのご主人様へ抱いていた想いの全てもまた、この中に封印された――
 まだ鍵を握る手は重いけど、「ありがとう」とおっしゃってあたしの差し出した鍵を受け取られた由美様へ、あたしは新たな言葉を紡ぐ。
「いつか、ご主人様だけのものになる事を……誓います……」
 ご主人様にご安心いただけるよう、今のあたしはきちんと笑えているだろうか。
「その日のためにも……どうか……このどうしようもなくイヤらしいマゾ牝を……ご主人様の犬として躾てくださいませ」
 媚びすぎていると思われてもいい。事実、それしかできない牝奴隷なのだから。今は、あたしの気持ちを精一杯ご主人様へ伝えたい。
「ありがとう……」
 また、由美様があたしを抱きしめてくださった。良かった。お言葉に、明るさと力強さが籠もっている。それだけで嬉しい。
「これから厳しく躾けてあげる。どこに出しても恥ずかしくない牝犬になるまで」
「……はい……ありがとうございます……」
 これからの調教を予感させる言葉が、このマゾ牝の背筋をぞくぞくと震わせた。
「ご主人様のお望み通りの恥ずかしくない牝犬になるよう頑張ります……」
 あたしの言葉を聴いた由美様が、ゆっくりとあたしの身体へ廻した腕を外された。
「じゃあ、まずは犬らしい格好になりましょうか」
 とにっこり笑って、由美様は、どこにしまっていたのか一つの箱を出された。それを開けて中から取り出されたのは、犬耳つきのカチューシャに、犬の前足と後ろ足に似せた肉球つきグローブとブーツ。それらを、由美様があたしの頭と手足へ手際良く装着される。言われるがまま、されるがままに着けていただくあたしは、むしろ人間の尊厳をまた一つ捨てた被虐の悦びに秘部を一層湿らせた。グローブとブーツは、手首と足首の辺りでしっかりとベルトで固定され、もはやこの牝奴隷が勝手に脱ぐ事はできない。
「それと、首輪でのお散歩は首が絞まって良くないらしいから、ハーネスを着けてあげるわね」
 次に箱から出てきたのは、複数の革のベルトが組み合わさったハーネスもどきの拘束具だった。女性の胸をより強調しイヤらしく絞り出すつくりのボンテージだ。でも、あたしはマゾ牝。不満なんてあるはずがない。
「……あ……ありがとうございます……こんな……いやしい牝犬の事を気遣ってくださって……」
 ご主人様へ感謝の意を示し、悦んで着けさせていただく。肌へじわっと染み込むベルトの質感。そこで、ハーネスボンテージが今嵌めている首輪と同じ材質の代物だと気づいた。もっとも、拘束具の材質が統一されているのは別に不自然とは思わないし、不都合もないからいいけど。
「こら、犬は二本足じゃ歩かないでしょう?」
 由美様の叱責が、いきなり飛んできた。
「も、申し訳ございません」
 牝犬らしく、おずおずと四つん這いになるあたし。それにしても、革ベルトで搾り出された胸が、何か重い感じがして鬱陶しい。どこか動きを制約されてしまうようで、首輪やボンテージとは別に、一種の拘束具に似たものをまた嵌められている錯覚を味わう。そりゃ邪魔ってほどじゃないけど……由美様にとっても、今までの貧相な胸よりはずっと望ましい事だろうし……
「うん、ようやく犬らしくなってきたわね」
「……あ……あふん……」
 その問題の胸を、畏れ多くも同じ目線まで腰を下ろされた由美様が手で揉みしだかれ、あたしははしたなくも欲情の声を上げてしまった。






「じゃあ、まずは犬らしい格好になりましょうか」
 そう言って、ドミニク――組織の幹部と名乗った男から預かっていた箱を開けた。
(なるほど、まずはこれを着けろって事ね)
 箱の中に入っていたのは犬耳のついたカチューシャと肉球のついたグローブとブーツ。まずはそれを取り出して、カチューシャを頭に、グローブとブーツをそれぞれ手足に装着。
 次に箱を開けると、ハーネス型の革の拘束具が入っていた。この箱は組織の発明品で、膨大な量のアイテムの中から私が必要としている物だけを転送してくれるという優れもの。しかも、品物を手に取ると頭の中に説明が流れ込んでくるので使い方が分からなくて困るということもない。散歩の時首が絞まらないようにという建て前で優子さんに拘束具を身に着けさせて、取り外しの必要ない装備は完成。ちなみにカチューシャとグローブとブーツは定着すれば、感覚も繋がって動かせるようになるとか。優子さんが犬耳をピクピクと動かすところを想像して、思わず顔がにやけてきてしまう。それを気付かれないように気をつけたせいか、四つん這いになるよう指示を出した時語調が少し強くなってしまった。しかし、それが良くも悪くも裏目に出てしまう事となる。おずおずと四つん這いになる優子さんの頭の上でペタンと犬耳が垂れ下がったのだ。
(かっ……可愛いっ!!)
 身悶えしたくなるのを必死に堪え、ご主人様としての態度を取り繕った。
「うん、ようやく犬らしくなってきたわね」
「……あ……あふん……」
 顔の筋肉が弛みたくて弛みたくて仕方がないのを誤魔化すように、優子さんの胸を揉んだ。眠っている間の改造によって大きくなった優子さんの胸。首輪の効果も相まって感度が格段に高まっている急所を弄られ悶える優子さんの頭の上で、耳がパタパタと動いているのが、どうしてくれようかというくらい愛らしい。虐めてオーラを全身から惜しみなく発してくるのを私への挑戦と勝手に解釈して、新たな責めに取りかかることにした。
「あら、こんなところに犬には必要ないものがあるじゃない?」
「……あ……うん?!」
 愛液ですっかり濡れそぼった陰毛を引っ張ると全身をがくがくと震わせる優子さん。
「剃っちゃおう。もうヌルヌルになっててクリームもいらないみたいだし、これなら簡単ね」
「……は……はひいっ……」
 優子さんの秘部を指で掻き回しながら一方的な了承を得る。恥ずかしがる優子さんをさらに言葉で弄ってから、降参のポーズを取らせた。全身を強張らせて目を閉じている様子はまさにまな板の上の鯉。優子さんという素晴らしい素材が活きるか死ぬかは私の腕にかかっている。
「やっぱり安全のためにもクリームはつけてあげる」
 箱の中から取り出したクリームを優子さんの秘部に塗りたくると、とめどなく流れる愛液とクリームで手がべたべたになった。それにしても、愛液の量が半端じゃない。そのことを指摘すると、本人も自覚があったのだろう、顔が真っ赤になった。もちろん、クリームの中にふんだんに媚薬成分が含まれているのは彼女には内緒だ。
「顔を真っ赤にしちゃって、可愛い。恥ずかしがらなくていいのよ。言ったでしょう? 好きなだけ乱れなさい、啼きなさいって」
「……はい……あ……ああん……」
 私の言葉を聞いて快感を堪えるのを止めたのか、優子さんの喘ぎ声が大きくなり、身を大胆に捩らせ始めた。それに気を良くした私は次の命令を下した。






 犬耳、肉球、ハーネス……犬らしく飾り立てられれば立てられていくほど、あたしの肌は敏感になっていく。もう、あそこだってドロドロなのに、大きくなってしまった胸を弄ばれ腰がガクガクになってしまった。
「あら、こんなところに犬には必要ないものがあるじゃない?」
「……あ……うん!?」
 ああっ。ドロドロなあそこの毛を由美様にちょっと引っ張られただけで、背筋が激しく打ち震える。ほらっ、イヤらしいお汁が、熱くなったお股の唇からごぽっと溢れ出しちゃう。
「剃っちゃおう。もうヌルヌルになっててクリームもいらないみたいだし、これなら簡単ね」
 そんな肉唇を、由美様に指で掻き回された。
「……は……はひいっ……」
 あたしは、息も絶え絶えで応えるのに精一杯。
「ふふ、また溢れてきた。本当にはしたない牝犬ね」
「……も…申し訳ございません……ご主人様の……おっしゃる通り……はしたない牝犬です……」
「それじゃ今からちゃんと剃ってあげるから、降参のポーズになりなさい」
「…………か……かしこまりました……」
 ご主人様の言葉責めに嬲られて感じながら、ひっくり返って降参のポーズを取る。ううっ、恥ずかしいし緊張するよお。耐えられなくて、目を閉じてしまった。
「やっぱり安全のためにもクリームはつけてあげる……あらあら、お汁の量が多過ぎて、クリームが流されちゃうじゃない」
 由美様のご指摘を受けて、ますます恥ずかしい。どんなお顔でこのはしたない牝犬をご覧になっているのか、怖くて目が開けられない。それでもこれから剃毛されようとしている肉唇は、とめどなく淫汁を溢れさせる。
「顔を真っ赤にしちゃって、可愛い。恥ずかしがらなくていいのよ。言ったでしょう?好きなだけ乱れなさい、啼きなさいって」
「……はい……あ……ああん……」
 由美様のお許しをいただいて、気分が少しだけ軽くなったからか。あたしの心から、こみ上げてくる欲望への抵抗が一層薄れていく。もう、ほとんど残っていないかも。
「さて、とは言っても、このお汁を何とかしないとね。どうしよう、指で栓を……と思ったけど、あなたはもう指を使えなくなっちゃったし……仕方がないから、だらしの無いおまんこを締めておきなさい」
 あううっ。そんなの無理です、ご主人様。優子のあそこは、すっかり熱くなって力が入らないの。締めたくても……締まらないの…………でも……ご命令には逆らえない……それに……
「……は……はい……ああ……ま……マゾ牝ゆうこの……お……おまんこ……だらしなくて申し訳ございません……」
 ……『おまんこ』という単語の卑猥な響きが……このはしたないマゾ牝への……蔑みを含んだ由美様のご指示が……たまらないのう……………………ああん……また……ドスケベなおまんこから……ごぽっ……って…………
「あなたのおまんこって、締めても愛液が零れてきちゃうのね。まぁいいわ。これ以上量が増えないうちに、ちゃっちゃとやっちゃうから」
 由美様の嘲りのお言葉は、どこまでも冷たく、でもたまらなく快い。そのだらしなくてはしなたいおまんこが、塗られたクリームのヌルヌルに、そっと当てられた剃刀の冷たさに感じ、びくんと震えてしまう。あたしが『マゾ牝』という人間様以下の卑しい存在でしかない、偽りようのない証拠を、ここでも突きつけられてしまった。
「……あ……ああ……あううっ…………は……恥ずかしい……です……」
「こら、動かないの。自分の大切なところに傷がついてもいいの?」
 由美様の叱咤にも、あたしのおまんこは新たなイヤらしいお汁をこぼすだけ。不意に、おまんこから剃刀の感触が離れた。という事は……
「ほら、済んだわよ」
「……あ……ありがとう……ございました……」
 ああっ、あたしの毛とうとう剃られちゃったんだ。
 由美様が、あたしのお尻の辺りに防水シートを敷かれた。熱すぎてドロドロなマゾ牝のおまんこに冷たい水が注がれ、また反射的に身体を震わせる。剃られた陰毛を流してくださったようだ。しかも、タオルで拭いてくださるなんて……こんなマゾ牝ごときに……何て……お優しい……ご主人様…………
「……はあ……あふ……あんっ……」
 でも、感じやすいところを何度も触れるタオルの柔らかさが、あたしを恥も外聞もなく悶えさせた。卑しいマゾ牝が、人間様みたいに気にしなくていいのは……分かって……いる……けど……
「はい、綺麗になったわよ」
 由美様が微笑みながら、綺麗にしていただいたあたしのおまんこを指先でつんつんと触わっていらっしゃる。
「あなたにも見せてあげるね」
 由美様にすっかり欲情しきって力の入らない身体を起こしていただき、あの姿見の前まで導かれた。ご覧なさい、という由美様のお言葉で鏡を見たあたしは、
「!?……」
 驚愕で言葉を失った。
 『マゾ牝ゆうこ』というプレートのぶら下がった首輪を嵌められたうえ、犬耳つきのカチューシャと肉球つきのグローブとブーツを着けられ、ハーネス風のボンテージで巨乳化した胸を隠しようもないほど搾り出された肉体。最初に鏡の前へ立たされた時よりもずっと、人間の資格などどこにもない変態の牝犬に相応しい姿へと変えられていくあたし。あたしを後ろから抱えるように立たれていた由美様が、
「ほら見て、とっても綺麗なピンク」
 と指で、つるつるになったあたしのおまんこを指し示される。牝犬の格好をさせられ、おまけにいい年した女のおまんこを生まれたての赤ちゃんみたいに剃られて、
「……こ……こんな……あぅ……!?」
 でも、どれほど恥辱にまみれても、左右のおっぱいの乳首が、おまんこの上のクリトリスが、揃っていきり立っている。間違いなく、あたしはマゾ牝へ堕とされて悦んでいるのだ――






「ほら見て、とっても綺麗なピンク」
「……こ……こんな……あぅ……?!」
 恥ずかしがって顔を伏せようとする優子さんの顎を持ち上げて見つめる。涙に潤む瞳には嗜虐的な笑みを浮かべた女の顔が映っていた。頭の上でパタパタと動く耳をそっと撫でると彼女はピクンと体を震わせた。ふふ、もう完全に定着したみたいね。何か問いたげな視線を感じたけれど、当然気付かない振り。
 さて、最後の仕上げをしようか。
「だんだんと立派な犬になってきたわね。そろそろ仕上げにかかろうかな」
「……あ……あう……ご……ご主人様……そこは……」
 臀部を撫でながらアナルを刺激する。その刺激に全身を震わす彼女に私はさらなる追い討ちをかけた。
「立派な尻尾をつけてあげる。ほら見て、とっても太くて立派でしょう?!」
「……ああっ……素敵……です……こんな立派な尻尾で……ゆうこを……ご主人様の牝犬にして……いただけるんですね……」
 優子さんの目の前に尻尾つきアナルバイブをちらつかせると、一層目はとろんと蕩け、だらしなく開いた口元からは涎が垂れた。既に本来の彼女の面影はほとんど残っていない。調教の効果を実感し、私はほくそ笑んだ。
「着けてあげるから、自分で準備なさい。こっちは私がしてあげるから」
 尻尾つきアナルバイブを唇に押し付けながら、アナルをつんつんと突く。快楽の吐息を吐きながらも、準備の意味を問う優子さんに、再び四つん這いになりバイブを舐めて濡らすよう指示した。
「……んん……んむっ……ちゅぱ……ちゅぷっ……」
「いい子ね」
 私の命令通りに行動する彼女の犬耳と臀部に指を這わせた。肉球の方もそろそろ定着しているかもしれない、そう思ったが楽しみは後にとっておくことにした。
「しばらくそのまま待ってなさい。準備をしてくるから」
 一生懸命バイブを舐めながら頷いてくれたのを見て、私は奥の部屋に入った。そこに置いてあった大きめの箱を開けて中に入っていた浣腸器と液を取り出して……あら、これは……ふふっ、これは後で使えそうね。
「お待たせ」
 私の言葉に四つん這いでバイブをしゃぶり続けていた優子さんが顔を上げた。目の前に浣腸器と液が入った瓶を置くと、うっとりとした溜息が彼女の口から漏れた。
「……この液体が……マゾ牝の……穢れた穴に……注がれるのですね……」
 そう言って恍惚の笑みを浮かべた次の瞬間には、
「……恥ずかしい……でも嬉しい……ご主人様……ゆうこは……やっぱり……変態の……牝犬みたい……です……」
と羞恥に顔を赤らめていた。
「いいのよ。もっと変態に、淫乱になりなさい。そうなるように、私が躾けてあげるから」
 私は彼女の言葉を賛同し、賞賛するように、ゆっくりとでも大量に浣腸液を浣腸器に吸わせた。そのあまりの量に彼女の目が大きく見開かれる。けれどその中に期待の色が隠れているのを私は見逃さなかった。
「ふふ、もっともあなたのお尻の穴は穢れてなんていないけどね。だってほら、ここも……すっごく綺麗なピンク色」
「……恥ずかしいです……ゆうこの……お尻の穴……本当に綺麗なピンク……なのですか……?」
 やれやれ、そんな可愛い顔で聞かれたら答えてあげるしかないじゃない。
「ええ、そうよ。ほら、綺麗でしょう?!」
 デジカメで指で広げたアナルを写して、これが答えだと言わんばかりに優子さんに見せつけた。
「……はい……きれい……ですけど……」
 そう言って視線を泳がせる優子さん。どれだけ辱めても、快楽に堕とそうとも羞恥の心を忘れることのない彼女をとても愛おしく思うその一方で、より一層高まる嗜虐心。犬耳をふるふると震わせる彼女はさながら親から逸れた子犬。何も知らない無垢な彼女にきちんと躾をしてあげないとね。
「やれやれ、さっきから散々恥ずかしいことをされて、その度に恥ずかしがって……よく飽きないわね」
「あうっ……」
 ああもう、そんな目で見つめないで。制御が利かなくなっちゃうじゃない。今すぐに抱きしめて全身を撫でてあげたい気持ちを必死に堪えて、冷たい声を絞り出した。
「まぁ、そこがあなたのいいところなんだけど。いくら犬になっても、完全に羞恥心を無くしちゃったら、躾ける方も躾け甲斐がないし。だから恥ずかしがるなとはもう言わない。でも、私に二度同じ事を言わせることだけは、絶対にないようにしてね。じゃないと鍵穴を壊しちゃうから」
「……かしこまり……ました……」
 潤んでいた瞳がさらに水分を帯びて怯えたように瞳孔が小さくなった。まったく、私の苛虐心をどれだけ刺激すれば気が済むのかしらと、内心苦笑した。
「ほら、口がお留守になってるじゃない。きちんと舐めなさい」
「……も……申し訳ございません……」
 優子さんがバイブに口をつけたのを見届けて、私は言った。
「じゃあ、こっちも始めるわね」
 優子さんのアナルを傷つけないように注意しながら、でも遠慮なく浣腸器のピストンを押し込んだ。組織の開発した強力な媚薬入り浣腸液が大量に飲み込まれていく。
「どう? 苦しくない?」
 私の問いかけに少し苦しそうにしながらも頷く優子さん。しばらくすると全身に媚薬入り浣腸液の効果が回ったのか、全身でふうふうと息をし始めた。便意を覚え始めたのだろう、アナルも僅かにひくひくと震えていた。
「もう少しだけ、我慢してね」
という言葉にも全身から汗を滴らせながら頷いてくれた。けれど、そろそろ限界が近いのは明らかだった。  排泄への恐怖と中から襲い掛かる激痛に耐える彼女。その姿を見て、可哀想と思うどころかとんでもない事を思いついてしまった自分に我ながら呆れてしまった。






 由美様が『立派な尻尾をつけてあげる』とおっしゃってあたしに見せてくださったのは、大型犬をイメージしたと思われるふさふさした尻尾付きのバイブだった。おっしゃる通り太くて立派で……これが……このマゾ牝の……はしたないお尻の……穴に……
「着けてあげるから、自分で準備なさい。こっちは私がしてあげるから」
 と由美様は、あたしの唇へバイブの先端を押し付けた。反射的に、先端へ軽く口づけするあたし。ああん。ご主人様が、空いている手の指でマゾ牝のアナルを弄んでいらっしゃる。
「……んむっ……準備……ですか……?」
 後ろの穴から来る快楽の電流に耐えながら、由美様へお尋ねした。
「そう、準備。また四つん這いになって、バイブを舐めて濡らしなさい。ちゃんとやらないと、痛いのはあなただからね」
「……は……はい……」
 そのご命令に従って、あたしは、再び四つん這いへ戻る。犬の前足になった両手だとモノを押さえにくい。
「……んん……んむっ……ちゅぱ……ちゅぷっ……」
 それでも何とかバイブを押さえたあたしは、そのまま先端を舐めしゃぶり始めた。
「いい子ね」
 由美様に犬耳とお尻を撫でられて、心地よい電流に痺れる。でも、お尻はともかく、何で犬耳を触られて感じるんだろう?
「しばらくそのまま待ってなさい。準備をしてくるから」
 と、由美様が奥の部屋へ行かれた。あたしは、ご命令に従いバイブを丹念にしゃぶり続ける。かつてのフェラチオ調教で仕込まれ慣らされた口は、どう唇や舌を這わせればイヤらしくなるかしっかりと覚えている。嬉しいんだか哀しいんだか、ちょっと複雑な気分。
「お待たせ」
 頭上からの声に顔を上げると、由美様がいつの間にかお戻りになられていた。美しいお顔で微笑まれながら、あたしの目の前へ浣腸器と液の入った瓶を置かれる由美様。バイブをしゃぶっていた口で、あたしはお尋ねする。
「……この液体が……マゾ牝の……穢れた穴に……注がれるのですね……」
 『準備』というお言葉で何となく予想してはいたけど、いざ目の前へ置かれると、新たな羞恥と歪んだマゾの悦楽を覚えずにはいられない。
「……恥ずかしい……でも嬉しい……ご主人様……ゆうこは……やっぱり……変態の……牝犬みたい……です……」
 由美様の手に収まった浣腸器が大量の浣腸液を吸い上げていく様を見て、あたしの心臓がバクバクいっている。
「いいのよ。もっと変態に、淫乱になりなさい。そうなるように、私が躾けてあげるから」
 もっとも、と由美様は、笑顔で言葉を続けられる。
「あなたのお尻の穴は穢れてなんていないけどね。だってほら、ここも……すっごく綺麗なピンク色」
 そうおっしゃって浣腸器を置かれた由美様は、指であたしのアナルを指し示された。
「……恥ずかしいです……ゆうこの……お尻の穴……本当に綺麗なピンク……なのですか……?」
 必要以上に綺麗にしようと意識した事のない箇所なので、何となく不安になってしまう。
「ええ、そうよ」
 突然後ろの方からきた刺激に、身体が震える。続いてカシャッ、という音が聞こえると、
「ほら、綺麗でしょう?!」
 由美様が、再びデジカメをあたしに見せてくださった。綺麗な指でしっかりと拡げられた不浄の穴の画像。誰のものか言うまでもない。
「……はい……きれい……ですけど……」
 そう応えたものの、自分から直に目視できず、まして他人の目に晒すはずのない箇所を撮られた事実は、今まで与えられた以上の恥辱であたしの胸を満たす。
 ……あたしって本当……ダメな牝犬だ……こんな事で……恥ずかしがっている……なんて……もっとご主人様に……お悦びいただくよう……痴態を……淫乱ぶりをご覧いただかいないと……いけないのに……
「やれやれ、さっきから散々恥ずかしいことをされて、その度に恥ずかしがって……よく飽きないわね」
「あうっ……」
 呆れた、といわんばかりの冷ややかな笑みを浮かべられた由美様。
 そうなんです。マゾ牝は、そうやってお言葉でも責めていただくのが嬉しいんです。
「まぁ、そこがあなたのいいところなんだけど。いくら犬になっても、完全に羞恥心を無くしちゃったら、躾ける方も躾け甲斐がないし。だから恥ずかしがるなとはもう言わない。でも、私に二度同じ事を言わせることだけは、絶対にないようにしてね。じゃないと鍵穴を壊しちゃうから」
「!?」
 恐怖にびくっとするあたしの身体。そうだった。このマゾ牝の運命は、由美様のお気持ち一つで全てが決まってしまう。
「……かしこまり……ました……」
 震えながら、ご主人様にお応えする。
 ……首輪の鍵穴……を壊されたら……二度と……戻れ…………戻れなくても……いい……かな……?……だって……『マゾ牝』のプレートを……ぶら下げて……あたしは……それを認めて……悦んで……
「ほら、口がお留守になってるじゃない。きちんと舐めなさい」
 由美様からいただいたご指摘が、あたしを妄想から現実へと引き戻した。次はないぞ。ご主人様の険しい目が、そうおっしゃっている。
「……も……申し訳ございません……」
「そうそう、それでいいのよ。じゃあ、こっちも始めるわね」
 慌ててバイブを口にしたあたしをご覧になりつつ、由美様が液で満たされた浣腸器を手に取られた。アナルに浣腸器の先端を当てられる。その瞬間、液体が一気に穴の中へ注がれた。
「……んんんっ!?」
 液の冷たさに感じてしまうあたし。
「どう? 苦しくない?」
 という由美様のお言葉に頷き、少し経ってから地獄の時間が訪れた。
「……ん!?んんっ!!」
 強烈な便意が、腹の中で飢えた獣みたいに暴れ出す。辛くて、苦しい。それに、熱い。身体が燃えて、どうにかなってしまいそうだ。大量の汗が、肌を伝っていく感触がはっきりと分かる。でも、ここで粗相をするわけには……少しでも気を紛らわそうと、バイブを夢中でしゃぶり続ける。
「もう少しだけ、我慢してね」
「ん、んんっ!!」
 髪の毛が貼り付くくらいに額が汗でびっしょりしているけど、由美様に優しいお声をかけていただき、頑張ろうと思う。けれども、あたしの気持ちと裏腹にどんどんお腹が限界へ近づいていく。そんな時、由美様から意外な事を尋ねられた。
「ねぇ、優子さん。浣腸液に私のおしっこも混ぜてあげようか?」
「んっ!?……」
 一瞬驚いて、バイブをしゃぶる口が止まりかける。
 ……ご主人様のおしっこが……浣腸液と一緒に……あたしの後ろの穴へ……そう思っただけで感じてしまい、あたしは、反射的にこくっと頷いた。そして、ぶるぶると震えの止まらないイヤらしいお尻を、由美様の前へ差し出す。おしゃぶりを再開した口の動きにも、一層熱が籠もる。
「分かった。直接入れてあげるから、お尻を突き出しなさい」
 由美様は防水シートを敷かれると、このマゾ牝のアナルを再びご自身の指で拡げられた。くっ。ダメ。で、出ちゃう。でも、まだ耐えなくちゃ。ご、ご主人様の素敵な黄金水を、こ、このマゾ牝の卑しい肉穴にいただけるんですもの。
 と、由美様の次のお言葉が後ろから聞こえた。
「行くね……んっ」
 びしゃびしゃ、と弾ける水音とともに、汗とは別の生暖かい液体でお尻が濡れていく。穴だけに収まらず、お尻から背中へかけてかかる由美様のおしっこが、太ももを伝って床へ滴る。
 あんっ、この温かさ、後ろから来るこの匂い、堪らない。あたしのアナルをご主人様の肉便器のように使われ、小便くさくしていただけるなんて、マゾ牝にとってこれほどの悦びがあるだろうか。嬉しすぎて涙が出てしまいそうだ。
 やがて、浴びせていただくおしっこが少なくなり、ついにはなくなった。
「ふぅ……」
 由美様の満足気に息をつかれたご様子で、お小水の終わられた事を悟る。正直おしっこ浣腸の効果があったのかどうか分からないけど、もう汗の量も肛門の筋肉も限界を越えてしまったから同じだ。これ以上バイブをしゃぶっていても、この痛みはわずかも紛らわす事はできない。
「随分と苦しそうね……トイレはあっちにあるから、そこまで頑張って」
 由美様の新たなご命令で、あたしは、バイブを咥えたまま四つん這いで歩き出した。全身の震えはひどくなるばかり、グローブとブーツを着けた手足はガクガクしておぼつかない。でも、あそこまでいけば……この内なる責め苦から……解放される…………ご主人様が……こんな下等な存在のために……わざわざ……用意してくださった……おトイレまで……辿り着けば……辿り着かなくちゃ……………………






「はぁっ……ふぅっ……」
 息を荒くしながら這っていく優子さん。彼女の動いた後には、汗とは違う雫が落ち、道を作る。まったく、我ながらとんでもない事を思いついたものだ。でも、そんな私の気持ちを見透かしたかの様に箱の中に入っていたのは、ズボンを穿いたまま立っておしっこが出来る商品の改良版のようなもの。使い方を知った時はまさかと思ったけれど、ひくひくと震える優子さんのアナルを見ている内に勝手に装着が完了していた。
『おしっこ浣腸』
 そんな馬鹿げた思いつきをあっさりと承諾してしまった優子さん。そしてそれを素直に嬉しいと思ってしまった私。
 一体私達は何処へ向かおうというのか。
 少なくとも確かな事は一つ、もう私達は後戻りが出来ないという事。これが夢の中の出来事だという事を、この時の私は忘れていた。
「んっ……ふっ……」
 もう便意が限界に近いのだろう、何度も崩れ落ちそうになりながら必死に這っていく優子さん。それでも、トイレに辿り着くまで口に咥えたバイブを落とす事はなかった。もちろんトイレといっても防水シートに犬用トイレを置いただけのもので、他人に見せる事のない排便行為を隠すものなど何処にもない。
「よく頑張ったわね。いいわよ、思いっきり出しなさい!!」
 最後までバイブを離さなかった優子さんを褒めながら弾みをつけるように臀部を軽く叩いた。
「んっ?! んんっ?! んんんんんんんんんんーーーーーーーーーっ!!」
 その瞬間、ついに堤防は決壊し、排泄が始まった。その勢いは物凄く、シートにまで茶色い点を作った。部屋中に強烈な臭いが立ち込める。
「ふー、ふーっ」
 漸く長い排泄が終わり、全身で息をする優子さん。びっしりとかいた脂汗がシートにぽたりぽたりと落ちる。
「ふふっ、臭いといい音といい量といい、物凄いうんちだったわね」
 優子さんを言葉で弄りながら後ろへ下がる様指示を出すと、恐る恐るといった感じで足を動かし始めた。すぐに不思議そうな顔でこちらを振り返ったが、もちろん私は何も教えない。最も臭いが強い所でストップさせ、降参のポーズを取らせた。けれど、優子さんの体は全く汚れていない。
 どういう事か、賢明な方ならもうお分かりだろう。シートもトイレも当然組織の発明品で、好きな時に好きなものを浄化出来るという優れもの。物質そのものを浄化して臭いだけを残すという事も可能なのだ。
「お疲れ様」
 強烈な臭いに顔をしかめている優子さんの全身を濡れタオルで拭いてあげ、最後にアナルに触れると、ビクンと体を震わせた。ふふっ、随分と敏感になっているみたいね。
「よし、綺麗になったわ」
 何度か水で濯ぎ、タオルが汚れていない事を確認してから
「こっちも準備OKね。疲れてるだろうけど、もうちょっとだけ頑張って」
と言って、優子さんの唾液で濡れているバイブをアナルに挿入した。
「んんっ?! あんっ……!!」
 身悶える優子さんに容赦することなく一気にバイブを根元まで挿入して、ベルトでしっかりと固定した。
「ふふっ、これで完全にワンちゃんになったわね」
 これで尻尾も定着すれば…………駄目、興奮しすぎて鼻血出そう。尻尾がブンブンと振れる光景を思い浮かべて、私は笑いが止まらなかった。






 まったく訳が分からない。由美様より後ろへ下がるようご指示をいただいた時、うんこまみれになる事を覚悟した。どれだけ抵抗があっても、ご命令へ逆らう事はできない。なのに、おそるおそる下がり、さらに降参のポーズまでして転がっても、あたしの身体には何も着かなかった。そのくせ、排泄物の悪臭だけはしっかりと鼻を衝いてくる。一体、このマゾ牝が出したうんこはどこへ行ったのだろう。でも、そんな疑問を確かめる余裕なんて、もう残っていなかった。
「お疲れ様」
 己の穴が吐き出した汚らわしい臭いに耐えながら、あたしは、由美様が拭きやすいようお尻の穴を差し出す。あうっ。苦しみから解き放たれた反動なのか、アナルがものすごい敏感になっている。濡れたタオルが触れただけで、水で洗われるだけで、びくびくっと反応した。後ろの穴を見られ弄ばれる羞恥が欲情へと変わり、毛を剃られたばかりのつるつるおまんこから新たなお汁がごぽっと溢れ出す。
「よし、綺麗になったわ。こっちも準備OKね。疲れてるだろうけど、もうちょっとだけ頑張って」
 と由美様からのお言葉をいただいた時、ぐっと凄い挿入感がアナルを襲った。
「んんっ?! あんっ……!!」
 不浄の穴から腸を経て、全身へと拡がる悦楽の電流に身悶えしないではいられないあたし。けれども、それは容赦なく穴の奥深くまで突き刺さっていく。あんっ、この感触……きっと由美様に舐めさせていただいた尻尾バイブだ。ふ、太い。ほ、本当に収まるのかしら……ダメ……震えが止まらない――
「ふふっ、これで完全にワンちゃんになったわね」
(――えっ?――)
 気がつくと、由美様はあたしの汚らわしい穴から手をお離しになり、このマゾ牝を見て満足げに微笑んでいらっしゃる。そこで初めて、あたしのアナルが尻尾バイブを根元まで深々と咥え込んでいる事に気づいた。おまけに、バイブはハーネスボンテージと連結したベルトでしっかりと固定され、もうこのマゾ牝が勝手に外す事はできない。あんな太いものがすっぽり収まってしまうなんて、あたしはアナルまで本当に淫乱なのかもしれない。
「あはん……ああんっ……」
 尻尾をつけられて、こんなに感じてしまうなんて。
「……これで……ゆうこは……ご主人様の牝犬に……なれたのですね……」
 悦楽に震えながら、あたしは由美様へお尋ねする。
「ええ、そうよ」
 はしたないマゾ牝の問いかけに、ご主人様は、一際素敵な笑顔で応えてくださった。そのうえ、ありがたくも全身を優しく撫で撫でまでしていただき――お股に通されたアナルバイブ固定用のベルトで絞られぷっくりと強調されたつるつるおまんこが、また熱いお汁を吐き出す。
「さぁ、疲れたでしょう?あなたのおうちを用意してあげたから、そこで少し休みなさい」
 由美様が鎖を軽くひかれ、恍惚としていたあたしの意識を現実へ引き戻した。
「……は……はい……」
 悦楽漬けにされて力の入らないあたしの身体。でも、何とか踏ん張って四つん這いの姿勢に戻る。
「……こんなはしたない牝犬に……おうちまでご用意していただくなんて……マゾ牝はとても幸せです……」
 全身は汗でベトベト、動くたびに首輪やボンテージのベルトの締め付ける感触が肌を苛む。大きくなったおっぱいが、やっぱり重くて動きづらい。そして、不浄の穴に挿入された尻尾がもたらす心地よい振動が止まらない。
「ほら、ここよ」
 由美様に引かれるままやってきたあたしの目に映ったのは、大型犬用より少し大きめの檻だった。頑丈そうな鉄格子の向こうには、布団と水飲み用の容器とえさ入れとトイレが設置され、端っこにローターが転がっている。視線が檻の出入口へ移った時、傍らに着けられたプレートを凝視し胸が高鳴った。
「……ご主人様……これは……」
「ああ、それ?あなたの血統書よ。どこぞの雑種と間違えられないようにね」
「このマゾ牝の血統書……嬉しい……」
 プレートに書かれた内容を何度も読み返し、完全に人権を剥奪された淫乱牝犬奴隷へ、性欲処理用の卑しい畜生の立場へ堕とされた恥辱と歪んだ悦楽を改めて感じる。

『名前:ゆうこ
 種族:マゾ牝
 身分:性欲処理用肉奴隷犬
 スリーサイズ:……』

 とめどなく溢れるあたしの秘蜜は、恥知らずのつるつるおまんこをさらに濡らしびしょびしょにしてしまった。






「このマゾ牝の血統書……嬉しい……」
 檻の前にかかったプレートをうっとりと見上げる優子さん。その表情や態度にはさっきまでの羞恥や躊躇いはなく、マゾ牝として私に飼われる事への悦びしか見えなかった。ふふっ、アナルに装着した尻尾が完全に定着すれば、さぞかし元気よく振れてくれることだろう。
 さて、いよいよ最後の仕上げだ。おすわりの格好でプレートを凝視している優子さんに、私は声をかけた。
「しばらくここでゆっくり休みなさい」
 檻の扉を開け、しゃがんで優子さんと視線の高さを合わせると、彼女はすぐさまこちらを向き、じっと見つめてきた。
 次の命令を今か今かと待ち侘びている熱い視線を感じながら、勝手に動く事なく私の言葉を待っている彼女を褒めた。そして褒められて満面の笑みを浮かべる顔にさらに顔を近付け、今にも唇が触れそうな位置で、私は言った。
「休む前に、覚えておいて欲しい事があるの」
「はい……」
「これからあなたは四つん這いの時には犬そのものにならないといけないの」
「犬そのものに……」
 ごくっ、私の言葉に優子さんが唾を飲み込んだ。僅かに揺れる瞳に不安とそれをはるかに上回る期待が映っているのを見て、私は言葉を続けた。
「そう、犬そのもの。もちろん人間の言葉を喋る事は許されないわ。あなたが人間に戻れる時は、四つん這いを止めた時。でも、その時は後ろ手に拘束してあげるから、どっちにしても手は満足に使えないわね」
 優子さんの頭の中に染み込むように、ゆっくりとはっきりとした口調で告げると、まるで魔法にでもかかったように優子さんの瞳は潤み、息も荒くなり始めた。実際、淫欲の首輪の効果や完全に同化した犬耳も魔法に一役買っているんだろう。
「……どちらでも……あたしは……マゾ牝……犬でも……人間でも……変態で……淫乱な……奴隷と……して生活する……それだけが許されている……のですね……」
 私の目を見つめているようで、何処と無く遠い所を見ているような瞳に欲望に囚われた哀れな女の顔が映る。
――ごめんね、もう、戻れないから。
 誰にともなく詫びを入れてから、私は頷いた。
「ええ、そうよ。あなたの身の回りの世話は私が全部やるから、あなたはただ快楽を貪ればいいの。ううん……あなたには、それしか許されない、私が許さない」
「…かしこまりました……精一杯悦楽を貪り……ご主人様にお悦びいただくよう……マゾ牝は……犬としても……人間としても……悦楽奴隷となります……こんな変態を……飼っていただくご恩を……お望みの形で……返させていただきます……」
 ドロドロに濡れた秘部を一切隠す事無くおすわりをしたままでの優子さんの宣言。その瞬間、首輪から青い光が放たれ、私と彼女を包み込んだ。光が消えた後に残されたのは、手の中でじゃらじゃらと音を立てる鎖。反対の端は当然優子さんの首輪に結ばれていた。フックや繋ぎ目の一切無いそれは、彼女が私無しでは生きられない牝犬に身も心も堕ちきった証。自分自身の力で彼女を堕としたと言い切れない事への悔しさも、可愛い可愛い『ゆうこ』を手に入れた悦びに比べれば目の前を舞っている見えない埃程の意味もない。
 そんな事を考えていると、耳を垂らし定着して間もない尻尾を大きくゆっくりと振りながら、優子さんは言った。
「最初に……マゾ牝ゆうこは……今から犬になりますので……恥ずかしい姿をご覧くださいませ……」






 休む前に覚えておいて欲しい事があるの、と由美様からいただいたご注意が、耳から脳へと深く染み込んだ。お言葉が、左右の耳ではなく頭上の犬耳より入ってきたように聞こえたのは、きっと気のせいではないのだろう。だって、あたしはもう、畜生以下の卑しい存在でしかないのだから。
「……どちらでも……あたしは……マゾ牝……犬でも……人間でも……変態で……淫乱な……奴隷と……して生活する……それだけが許されている……のですね……」
 自ら人権の放棄を宣言するに等しい台詞。口にするだけで、首輪とボンテージで拘束された身体が熱くなる。恥知らずのつるつるおま○こは、溢れ出すスケベ汁で当分乾きはしないだろう。
「ええ、そうよ。あなたの身の回りの世話は私が全部やるから、あなたはただ快楽を貪ればいいの。ううん……あなたには、それしか許されない、私が許さない」
 ああっ。このはしたない牝犬の面倒を全てご覧になる、とおっしゃるのですか。何てもったいないお言葉……嬉しいです、由美様……感謝してもしきれません……
 どうすれば、新たなご主人様のご恩にお応えできるだろう。そう思ったあたしの心には、もう一点の曇りもなかった。
「…かしこまりました……」
 覚悟を新たにして、あたしは由美様を見上げる。ご主人様の麗しいお顔が、次の言葉を待っていらっしゃる。
「精一杯悦楽を貪り……ご主人様にお悦びいただくよう……マゾ牝は……犬としても……人間としても……悦楽奴隷となります……こんな変態を……飼っていただくご恩を……お望みの形で……返させていただきます……」
 とうとう、言ってしまった。今、口から出たのは間違いなくあたしの言葉、とめどなく溢れる愛液と同じあたし自身の偽りない気持ち――
 その瞬間、あたしの目の前が青い光に包まれた。一体、何が起こったのか分からない。ただ、あたしの首に新たな重みが加わった。何だろう。でも、この重みは不快じゃない。
 光が薄れ消えた時、由美様の手に新たな鎖が握られていた。じゃらじゃらと音を立てるその鎖は、確かにあたしの首輪へ繋がっている。目で見る事はできないけど、あたしは牝犬としての本能で悟る。もう、この鎖が首輪から外れる事はないのだと。この牝犬が、二度とご主人様の手を離れて生きる事はできないのだと。でも、それがたまらなく嬉しい。
 気づくと、お尻の方で何かが動いている。尻尾だ。本物の犬みたいに振って、あたしのアナルを刺激してくるのだ。どんな仕組みになっているのだろう。でも、後ろからの心地よい刺激の前にはどうでもいい。不浄の穴で感じ牝犬らしい卑しい悦びに悶えながらも、あたしはまた由美様のお顔を見上げる。まだ、忠誠の証は示し終わっていない。
「最初に……マゾ牝ゆうこは……今から犬になりますので……恥ずかしい姿をご覧くださいませ……」
 それから一息吸ったあたしは、由美様へ向かって「わん」と吼えてみせた。すると、由美様が嬉しそうにまた腰を落とされ、
「いい子ね」
 と、あたしの首を胸へ押し付けるようにして抱きしめてくださった。何度も頭を撫でていただく手と、ふくよかな胸の感触が、とても心地よい。
「わんわん」
 あたしもお礼の意味を込めて、由美様の胸へ舌を這わせていただいた。心なしかご主人様の服がはだけ、ご自慢の美巨乳の谷間が露わとなっていたのは、きっと偶然ではないと思う。だけど、それがご主人様のお望みなのだろう。牝犬は、ただご主人様にご満足いただければいいのだ。さらに、あたしは媚びるようなイヤらしい仕草で尻尾のついたお尻を振ってみせた。ああっ、やっぱりバイブに刺激されてアナルがすごくいい。
「さぁ、そろそろお休みなさい」
 由美様が、尻尾の刺激に身悶えするあたしの頭を離されて立ち上がった。檻の扉を開けると、中へ入るよう鎖を引かれて促される。
「わん……」
 由美様のご指示に従い、四つん這いで檻の中へ入っていくあたし。でも、何となく物足りなくて、ついついご主人様の方を見てしまう。
「今は我慢しなさいな。次にあなたが目を覚ましたら、容赦なく躾けてあげるから」
 そんなあたしの未練がましい視線に気づかれた由美様が、妖艶な微笑を浮かべておっしゃった。躾けてあげる。その言葉が犬耳を通ってより淫靡に響き、
「わん」
 あたしは、嬉しさと恥ずかしさでこくこくと何度も頷く。一体、どれだけつるつるのおま○こははしたなくお汁を零せば気が済むのだろう。
「じゃあね。おやすみなさい」
 由美様は、握られていた鎖を檻の端へ繋げると、檻の扉を閉め大きな南京錠をかけられた。南京錠の冷たい音が、二度と逃れられない囚われの身を自覚させ、被虐の悦びに一層つるつるおま○こがドロドロだ。
「私はこれからちょっと出てくるから、もし私が帰るまでに目が覚めて退屈だったら転がってるローターで遊んでなさい」
「わん」
 由美様のお言葉にもう一度頷くと部屋を出て行かれるお美しい後ろ姿を、檻の中から見送った。
(……ああっ……牝犬になっちゃったよ……あたし……)
 それも、今日から全く新しいご主人様の牝犬だ。
 由美様が出られたのを確認すると、ご用意していただいていた布団の上へゆっくりと崩れ込むあたし。やはり、悦楽責めを受けた身体は疲れていたようだ。
(……でも……なんか嬉しい……ほっとする……誰にも遠慮せず……悦楽を貪っていいって……だからかな……)
 彼との思い出も委ねていいのだろうか。未だ、この胸にちくりとくる痛みも由美様にお任せすればいいのかな……ああっ……眠い……もう……何も考えられない……考えたくない……
(……じゃあ休もう……ご主人様にきちんと躾ていただくために……)
 新調されたシーツの心地良さに身も心も委ねて、あたし――『マゾ牝ゆうこ』は、深い眠りについた。


― 第一部   完 ―




メールフォームです。感想をお気軽にお書き下さい♪
*は必須項目です

*小説タイトル

作品について

萌ええっち〜♪面白かった その他

感想及び誤字脱字等ありましたらお気軽にどうぞ♪

Powered by FormMailer.



幕間へ top